「理科系の作文技術」まとめ

江崎研のTeppei先輩が「理科系の作文技術」の本からまとめてくれました。

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「理科系の作文技術」という本を読んで、自分でメモしたことをWikiに移してみました。 他にも大事なことあったらどんどん修正していってください。
特に以下の文章を書く心得が参考になります。
  • パラグラフを意識して文章を構成すること。特に、今書いているパラグラフのトピックは何かを常に念頭に置くこと。
  • 最初に読み下すときには理解せず、読み返して初めて分かるような、逆茂木型の文を書かぬこと。内容の並べ方に自然な流れがなく、また文のつなぎ方が唐突で読者に抵抗を感じさせるような、逆茂木型の文章を書かぬこと。
  • 飛躍のない記述をすること。読者は、論文の主題並びにそれにあ関連するいろいろな研究を、著者のように知り抜いているわけではない。著者が「これは書くまでもあるまい」と思って論理の鎖の環を一つ省略すると、読者はついていけないことが多い。
  • 含みをもたせた、ぼかした言い方を避け、できるだけはっきりと言い切ること。「ほぼ」「ぐらい」「らしい」などと書くのは、これらのぼかしことばが本当に必要なのかどうかを検討してからにせよ。
  • 事実と意見をはっきり区別して書くこと。特に事実の記述の中に意見を混入させるな。論文の中では、自分のした仕事と、他人の仕事の引用とがはっきり区別できるように書くことが特に重要である。
  • できるだけ短い文で文章を構成すること
  • 文の途中で主語が入れ替わったり、あるべき言葉が抜けていたりして<破格の文>にならないように神経をつかうこと
  • まぎれのない文を書くこと。理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書く心がけが大切
  • なくてもすむことばは、ひとつも書かないように心がけること
  • できるだけ、受け身でなく、能動態の文を書くこと。「〜考えられる」「〜思われる」は使わない。

 

  1. 論文に必要なこと
  • 事実と意見のみを述べる。感情を混入させない。
  • 内容を精選する。
  • 研究者が読めば
    - 著者の実験を追試して、著者の示した実験誤差の範囲内で、同じ結果に到達することができる
    - 著者の観察、計算または演繹を繰り返して著者の発見の頭皮が判定できる
    
    
  • 事実と意見の区別
    • 事実と意見(判断)を明確に区別する
  • 記述の順序
    • 文章全体が論理的な順序に従って組み立てられる
    • 相手がまっさきに何を知りたがるか
      ex. カメラの使用説明書は新しいカメラを手にした人は最初にどんなことをしてみるかを調べた上で書かなければならない。
      
      
  • 明快・簡潔な文章
    • 一文の表現が一義的に読めるか(他の意味に取られる心配はないか)
    • ぼかした表現を避ける
    • 普通の用語、日常用語を用いて短い文で構成すること。
  1. 準備作業
  • 文書の役割の確認
    • この文書では何が求められているか?
      ex. 研究費申請の審査では研究の価値と成功の可能性(feasibility)都に対する判断の資料を提出するのが申請書の役割である
      
      
  • 主題の選定
    • 与えられた課題
      • ある装置についての調査報告の起草は、その調査の目的は何だったのか、その目的にはどんな情報が必要か、を反省・検討することから始まる
    • 一文書一主題
    • 長さの制限
      • 長さに応じて主題を絞る
      • 学会の10分公演(スライドつき)の内容を論文調に簡潔に書けば6枚程度
    • 読者
      • 読者が誰であり、その読者はどれだけの予備知識を持っているか、またその文書に何を期待し、要求するだろうかを、十分に考慮しなければならない
      • その道の専門家には常識であることを長々と書く必要はない
    • なまの情報
      • 自分自身が直接得た情報、またそれについての自分自身の考えに重点を置くべきである。
      • 不備であり未熟・浅薄であったとしてもオリジナリティーがある。
  • 目標規定文
    • 主題を決めたら、自分は何を目標としてその文書を書くのか、そこで何を主張しようとするのかを一つの文にまとめて書く
    • 最初に結論をまとめる
    • 書き進む内に論理のアラが見えてきて修正することもあり得るため、最初に書く目標規定文は一応の目標
    • 明確な目標意識を堅持して書く必要がある
    • 都合の悪い材料を捨てるわけではなく、議論・考察で都合の悪い材料も改めて取り上げ、自分の所説を再検討する
  • 材料集め
    • 思いつくままのメモ
      • アイディアが閃いた瞬間にノートにメモする
    • ジャーナリストの定石その他
      • 5W+Hに関する情報が必要
  • 図・表
    • 図を予め準備することで何を書かなければならないかがはっきりする
  1. 文章の組み立て
  • 記述の順序
  • 起承転結
    • 伝統的な構成
  • 重点先行主義
    • 表題と著者抄録だけに頼って論文を見るべきかどうかを判断する
    • 切り詰めたスペースの中に、論文の結論だけでなく、研究の目的や研究法も明治することが要求される
    • 新聞記事
      • 記事のポイントはリードで完全にカバーされている。
      • 重要な事を最初にまとめておく
    • 序論・本論・結び
      • 文章の構成の最低要素
  • 序論
    • 必要なこと
      • 読者が本論を読むべきか否かを敏速・的確に判断するための材料を示す
      • 本論に掛かる前に必要な予備知識を読者に提供する
        本論の主題となる問題はなにか
        その問題をなぜーどんな動機によってー取り上げたか
        その問題がなぜ重要か
        問題の背景はどんなものか
        どういう手段によってその問題を解決しようとするのか
        
        
    • 結論を先に書く方式を取るのでもない限り、序論は短く、短くと心がけて書くべきものである
  • 結び
    • 伝統的には、
      • 本論の主なポイントを簡明に列挙してまとめ
      • それらの重要性を強調し、また将来の発展への未道を示唆する
    • ただし、現代的重点先行主義に基づき、結びではなく文書の最初にまとめを書く例が多くなった
    • 客観主義
      • あることが重要かどうかは読者が判断するべきもので、理科系の仕事の文書には「重要な」、「興味ある」という類の形容詞を混入させるべきでない
    • 結果として、まとめという節はほぼ姿を消し、議論で終わるのが普通になった
  • 本論の叙述の順序
    • 外観から細部へ
      • 大づかみな説明を与えて読者に外観を示してから、細部の記述に入る
    • 細部の記述の順序
      • 書くべき中身を機能別・性質別に分けたりすることが出来る場合には、その分類に従って記述を進める
      • それができない場合は、空間的または時間的な配列に従って記述順序を考える
      • 空間的配列に従った順序:「上から下へ 左から右へ」
        分岐する場合には、どの線にそって叙述を続けるのか、他の線のことはどこに書くのかを明示するべき
        
        
      • 時間的配列:起こった順に書く
        作業の説明や、機械の仕様手引書の類
        
        
      • 重要な事は
        どういう順序で書くかを思い定めてから書き始め、途中でその原則を犯さないこと
        どうしても原則を守れなくなったら、潔く方針を変更して最初から書き直すこと
        
        
    • 論理展開の順序
      理論の叙述と説得を目的とする叙述とに大別できる
      自分がたどった紆余曲折した道ではなく、最も簡明な道にそって書かなければならない
      理論の基礎にある仮定を浮き立たせて書く
      モデルを作る段階でどれだけのことを仮定したか、理論を展開する段階でどんな仮定を付け加えたか、が目立って見えるように工夫する
      
      
  • 文章の構成案の作り方
    • 具体的な構成案の作り方
      • 目標規定文を見て
      • 集めた材料とそれについての考察を
      • 記述の順序、文章の組み立てについての原則論を念頭に置いて
    • 文章の死命を制するのは、文章の構成(何がどんな順序に書いてあるか、その並べ方が論理の流れに乗っているか、各部分がきちんと連結されているか)
    • 文のうまさ(語句の選び方、口調の良さ)などは、理科系の仕事の文書の読者にとっては、二の次、三の次のことに過ぎない
    • 構成表を作るやり方
      • 大きな紙に構成表を書いていく
      • 「思いつくままのメモ」などを利用して、必要な項目を落とさないようにする
      • 構成表の同じ段階のところには、ほぼ同じ格のものが並ぶようにすること
      • 記述の面で関連させなければならないものに印をつける
      • お互いに関連する項目を同色の枠で囲んでも良いし、鉛筆の線で結んでも良い
      • 表を書き上げたら、どういう順序に項目を配列すれば話が往きつ戻りつすることを避けられるかを考える
      • 最後に、出来上がった表の上で、各節を更に小節に分けるべきか否かを検討し、各節のパラグラフ構成を考える
    • スケッチノート法
      • パラグラフ主体の方法
      • パラグラフに書き込むべき内容を、短い文または句(スケッチノート)にまとめてカードに書きこむ
    • 書きながらの見直しと反省が必要
    • 天才は別として常人にとっては、スッキリとスジの通ったものを書けるかどうかは、自分の書いたものを厳しく見直す能力と、何度でも書きなおす根気とにかかっている
    • カードによる整理・収束法
      • 内容が複雑でどういう形にまとめればいいのか検討がつかない場合
      • レポート用紙にスケッチ・ノートを書き並べ、それに番号をつけていく
  1. パラグラフ
  • パラグラフの満たすべき条件
    • パラグラフは、内容的に連結されたいくつかの文の集まりで、全体として、ある一つのトピック(小主題)についてある一つのこと(考え)を言う(記述する、明言する、主張する)ものである
    • パラグラフには、そこで何について何を言おうとするのかを一口に、概論的に述べた文(トピック・センテンス)が含まれるのが通例
    • パラグラフに含まれるその他の文は、
      • トピック・センテンスで要約して述べたことを具体的に、詳しく説明するもの(展開部の文)
      • そのパラグラフと他のパラグラフとのつながりを示すもの
    • トピック・センテンスはパラグラフを支配し、他の文はトピック・センテンスを支援しなければならない
  • トピック・センテンス
    • トピック・センテンスはパラグラフの最初に書くのが建前
    • 現実の文章ではトピック・センテンスがパラグラフの最後に来る場合もあり、途中に置かれる場合もある
    • なるべく最初に置くべきだが、以下の理由でできないことがある
    • 先行するパラグラフとの繋ぎの文を、トピック・センテンスより前に書かなければならない場合
    • トピック・センテンスを第一文とするパラグラフばかりが続くと、文章が単調になるきらいがある
    • 日本語の文の組み立てがこれに向かない
      • 英語では主語と述語が密接して文頭に来るーしたがってエッセンスが文頭に書かれるーのが通例であるのに反して、日本語では述語が文末に来る
        英語では、修飾句・修飾説が修飾すべき後の後に来るのが通例であるのに反して、日本語では修飾句・修飾説が前置される。
        理科系の仕事の文書ではトピック・センテンスが省かれる場合もないではない
        初心の執筆者は各パラグラフに必ずトピック・センテンスを書くように心がけるほうが良い
        
        
  • 展開部
    • トピック・センテンスの内容について具体的な詳細を述べる部分を書く際には、文を並べる順序やつなぎの言葉をよく考えて、一つ一つの文とトピック・センテンスの関係、および次々の文の間の関係を明瞭に示す必要がある。
    • 主張のパラグラフは、展開部に十分の材料を準備してかからないと力強く書けない
  • 文章の構成要素としてのパラグラフ
    • パラグラフの長さ
      • 一つの分だけから生るパラグラフは原則として書くべきではない
      • 複数個の文から成るパラグラフの長さには制限がない
      • パラグラフの長さが色々に変化するのが良い文章の条件の一つと言う人もいる
    • パラグラフの連結
      • パラグラフの配列には必然的な流れがあるべき
      • パラグラフの頭につなぎの言葉が書いてなくても、冒頭のトピック・センテンスを読めば、これから書かれることと今までに書いてあったこととの関連が自然にわかるのが本来である
      • トピック・センテンスをパラグラフの中間や末尾に置きたい場合は、先行するパラグラフとの関係を示す文また句を入れる
  1. 文の構造と文章の流れ
  • レゲット(理論物理学者の)のいうこと
    • 逆茂木型の文章を書いてはいけない
      • そこまでに読んだことだけによって理解できるように書かなければならない
      • 一つの文に書いてあることとその次の文に書いてあることの関係が、読めば即座にわかるように書く必要がある
      • 脇道に入るところでそのことを明示しなければならない
      • 論理の鎖の環を省いてはいけない
      • 「明白でない」よりも「くどい」ほうをよしとする
  • 文の構造ー逆茂木型の文
    • 逆茂木を防ぐには
      • 一つの文の中には二つ以上の長い前置修飾節は書き込まない
      • 修飾節の中の言葉には修飾節は付けない
      • 文または節は、なるたけ前とのつながりを浮き立たせるような言葉で書き始める
    • 上記を念頭に置き、長すぎる文を分割する、また前置修飾節が修飾している言葉を前に出す、等の手法が役に立つ
  • 文章の流れー逆茂木型の文章
    • 論文は読者に向けて書くべきもので、著者の思いを満たすために書くものではない。
    • 序論は、読者を最短経路で本論に導き入れるようにスーッと書かなければならない
    • 著者が迷い歩いた後などは一切表に出すべきでない
    • 話の筋道(論理)に対する研ぎ澄まされた感覚が必要
      • 不意に余計な支流が流れ込んだり、流れが淀んで行き先がわからなくなったり、迂回して流れたり、伏流になったりするのに瞬間的に反応する機敏さ
  1. はっきり言い切る姿勢
  • レゲットのいうこと(続)
    • 〜であろう、~と言って良いのではないかと思われる、〜と見ても良いと、等々の句を英語に翻訳することにはまず見込みが無い
  • 明言を避けたがる心理
    • 欧州では異なった歴史を背負い、異なった言葉を話す人達との交流が必要
      • 複雑・婉曲な言い回しはしばしば誤解を招く
      • 自己の主張を徹底させることを第一に、くどいほど隅々まで明確に
    • 日本では同族だけが島に閉じこもって鼻付きあわせて暮らしてきた
      • 異を立て角つき合わぬこと、みんなに同調することが必要
  • 明確な主張のすすめ
    • 日本人は表現をぼかし、断言を避けて問題を曖昧にし、論争を不徹底にしてしまいがち
    • 理科系の仕事の文書は、心情的要素を含まず、政治的考慮とも無縁でもっぱら明快を旨とすべき
    • 記述はあくまで正確であり、意見は出来る限り明確かつ具体的であらねばならない
  • はっきり言い切るための心得
    • 〜と思われる、〜と考えられる、は当否の最終的な判断を相手に委ねて自分の考えをぼかした言い方
    • 曖昧な、責任回避的表現は避けて、「自分は〜と思う」「〜と考える」と書くべき。
  • 無意識の内にぼかしことばを濫用する習癖をもっている。
    • 「ほぼ」「約」「ほど」「ぐらい」「多分」「ような」「らしい」の類をできるだけ削ることも大切な心得の一つ。
    • 本当に必要なのかどうかを吟味する習慣を確立すると、文章はずっと明確になる
  • 英語に、stateという動詞がある
    • 明確に表明する、正式に記述する、形を整えて、あるいは明確な形で記述する、というような意味 日本語に当てはまる言葉がない
    • 仕事の文書で何事かを書くのはstateすることだ
  1. 事実と意見
  • 事実と意見
    • 文章を書く際に
      • 事実と意見をきちんと書き分ける
      • 仕事の文書では、事実の裏打ちのない意見の記述は避ける
    • という二つの心得だが、その前提となるのは事実と意見とを峻別する鋭い感覚である
  • 事実とは何か 意見とは何か
    • 事実の記述の定義とは
      • 自然に起こる現象・自然法則:過去に起こった、人間の関与した事件などの記述
      • しかるべきテストや調査によって真偽を客観的に確認できるもの
    • 意見の定義とは
      • 推論(inference):ある前提に基づく推理の結論、または中間的な結論
        ex. 彼は(汗をかいているから)暑いに違いない
        
        
      • 判断(judgment):ものごとのあり方、内容、価値などをみきわめてまとめた考え
        ex. 彼女は優れた実験家であった
        
        
      • 意見(opinion):上記の意味での推論や判断;あるいは一般に自分なりに考え、あるいは感じて到達した結論の総称
        ex. リンを含む洗剤の仕様は禁止すべきである
        sound opinion:問題に直接に関係のある事実の正確な認識に基づき、正しい論理に従って導き出された根拠ある意見
        unsound opinion:出発点の事実認識に誤りがある場合、または事実の認識は正確でも論理に誤りがある場合
        
        
      • 確信(conviction):自分では疑問の余地がないと思っている意見
      • 仮説(hypothesis):真偽のほどは分からないがそれはテストの結果を見て判断するとして、仮に打ち出した考え
      • 理論(theory):証明になりそうな事実が相当にあるが、まだ万人にそれを容認させる域には達していない仮説
        全ての人が容認せざるを得ないほど十分な根拠のある理論は法則(law)と呼ばれ、事実のカテゴリーに分類される
        
        
  • 事実の記述 意見の記述
    • 事実の記述について必要な注意は次の三つ
      • その事実に関してその文書の中で書く必要があるのは何々かを十分に吟味する
      • ぼかした表現に逃げずに、できるだけ明確に書く
      • 事実を記述する文はできるだけ名詞と動詞で書き、主観に依存する修飾語を混入させない
    • 事実の記述と意見の記述とが絡んでくる場合には問題が生じる
      • 意見の記述は、「私は〜と考える(想定する、推論する、思う、感じる)」という形で書くのが基本形
      • 例を挙げる
        (1)私は、試料の温度が下がったのは輻射による放熱のためであると考える
        (2)私は、これが最良の方法であると考える
        
        
      • 上記の二つから頭(私は)と足(と考える等)を取り去って、中身の部分だけを残すと次のように成る
        (1’)試料の温度が下がったのは輻射による放熱のためである
        (2’)これが最良の方法である
        
        
      • (1)は明らかに意見の記述なのに、(1’)は事実の記述としか受け取れない
      • 一方、(2’)は依然として意見の記述と受け取れる
      • (2)は主張の核となる言葉が修飾語(句):「最良の」であることがポイントだと考える
      • 修飾語(形容詞、副詞)の大部分は、主観によって選ばれ、使われるものーすなわち判断を表すもの
      • 意見の記述では、
        意見の内容の核となる言葉が主観に依存する修飾語である場合には、基本形の頭と足を省くことが許される
        そうでない場合には頭と足を省いてはいけない
        
        
      • 主格が私であることが明らかな場合には頭を省くことが許される
      • しかし、原則としては頭を付けて責任の所在を明らかにしたほうが良い
      • 意見の内容は断定形で書いて頭と足を明記するべき
  • 事実と意見の書きわけ
    • 一つの意見(推論、判断、仮説)に対して意見を述べるときにはいつでも、例えば上記のように、意見を述べる対象が事実ではなくて推論、判断、仮説であることを明示しなければならない
    • 具体例
      • 下線部(a),(b)が著者の考えなのか、事実なのかがわからない
        この違いは(a)銀微粒子と油分子の間に働く吸着力の大きさが油の種類により異なり、(b)Octoil-Sでは吸着力がより強いためであると思われる
        
        
      • 事実の記述として書くのであれば
        この違いは、銀の微粒子に対してOctoil-Sは他の油よりも強く吸着すると言う事実(節番号)に起因するものと考える
        
        
      • (a),(b)が想定であるのであれば
        この違いは、銀の微粒子に対してOctoil-Sは他の油よりも強く吸着すると仮定すれば説明できる
        
        
      • とすべきである
    • 次の心得があればよい
      • 事実を書いているのか、意見を書いているのかをいつも意識して、両者を明らかに区別して書く
      • 書いた後に、逆に取られる心配はないかと入念に読み返す
      • 事実の記述には意見を混入させないようにする
  • 事実の持つ説得力
    • 事実の記述は、一般的でなく特定的であるほど、また漠然とした記述でなくはっきりしているほど、抽象的でなく具体的であるほど、情報としての価値が高い
    • 事実の上に立って論理的に導き出した意見でなければならない
    • 自分の意見の根拠となっている事実だけを具体的に、正確に記述し、あとは読者自身の考察に任せるのが一番強い主張法になる。
  1. わかりやすく簡潔な表現
  • 文は短く
    • 3つの心得がある
      • まず、書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる
      • それらを論理的にきちっとつないでいく
      • いつでも「その文の中では何が主語か」をはっきり意識して書く
  • 格の正しい文を
    • ことば同士の関係がきちんと保たれた文、あるべきことばが脱落したり、言葉の繋がり方がねじれていたりすることのない文
    • 一貫した主語で書くべきなのに途中で主語が入れ替わった文をねじれた文という
  • まぎれのない文を
    • 一つの文を書くたびに、読者がそれをどういう意味に取るだろうかと、あらゆる可能性を検討する
    • コンマを入れればまぎれがなくなる
      例1:黒い目のきれいな女の子がいた→黒い目の、きれいな、女の子
      
      
    • まぎれをなくすためには、修飾語を置く位置を、修飾すべき語に密接させるのが原則
      例2:Volmer-Weber型の薄膜の成長期校については→薄膜の、Volmer-Weber型の成長機構については
      
      
    • 並立する要素のあとに全部「と」を付けて書く
      例3:lとBの深さの差をhとする→lとBの深さとの差をhとする
      
      
  • 簡潔
    • 必要ギリギリの要素は何々かを洗い出し、それだけを、切り詰めた表現で書く
    • 一語一語が欠くべからざる役割を負っていて、一語を削れば必要な情報がそれだけ不足になる
    • 二つの注意点
      • 字数の制限が厳しい場合にも、「固体材料では放物線的に増大」とか「発熱の影響なければ」とか電報文のような省略分を書いてはいけない
      • 等式や不等式は文であり、文の一部として式を書き込むときには文の主節を式で置き換えてはならない
  • 読みやすさへの配慮
    • 字面の白さ
      • 用のない所に漢字を使わない
        ex. 普通→ふつう、色々→いろいろ
        
        
    • 漢語・漢字について
      • かたい漢語や難しい漢字は必要最小限しか使わないようにして欲しい
      • 「可及的速やかに」→「できるだけ早く」
    • 受け身の文
      • 受け身の文は少ないほど良い
        ex. 次の問題が提起される→次の問題が出てくる
        
        
      • 受け身の文では「誰がそれをしたのか」「誰がそう考えるのか」がぼやけてしまい責任回避的である
    • 並記の方法
      • 条件、その他をいくつか並べて書くときには、この例のように番号を打って、読者に「これと同格の内容が幾つか続きますよ」と予告するのが親切なやり方
  • 文章の中の区切り文字
    • コンマ(,)の付け方の規則は以下である
      • 受ける言葉が、すぐ続くときはつけない。離れているときはつける
        ex. ぼくは少年です。ぼくは、おじさんの家へ行った。
        
        
      • 二つの文からできている文は、間につける
        ex. 雨が降ったので、遠足は中止になった。
        
        
      • コンマが多すぎてくどい場合は、受ける言葉が離れている時のコンマは省く(二つある場合は距離が近い方のコンマを省く)
        ex. きのう、ぼくは(、)おじさんの家へ行った
        
        
    • セミコロン
      • 一つの文の中でコンマより強く区切りをつけたいときに使う
    • コロン
      • 文中の強い区切りの符号(コンマより強く、セミコロンよりは弱い)
      • 続いて書くことがそこまでに書いたことの詳細、あるいは要約、あるいは説明であることを示すのが役割
      • 一口に言えば「すなわち」
      • 例を示すのにも使われる
    • なかぐろ、あるいはなかてん
      • 並列、並列連結を表す記号
    • ダッシ
      • 形式張る必要がない場合にコロンやカッコの代わりに使われる
      • きちっとした文に書くと複雑な構造の複文になり、読みにくくなるものが、ダッシを使うと比較的スラリと読めるようになる
      • 日本語には欧文の関係代名詞に相当するものがないことと関連している
    • リーダー
      • 以下同じようなものが続くが省略する、を表す
  • 私の流儀の書き方
    • 漢字の使い方
      • かなばかりが続く文―白すぎる文ーは読みにくいから、漢字で書くこともある
      • 漢字だけで書く言葉をベタに二つに続けるのは避ける
        ex. 比較的少ない→比較的すくない
        
        
    • 文末の述語
      • 次々の文の最後の述語が変わっていくように心がけている
      • 同じ形で終わる文が続くことは特に心して避ける
  1. 手紙・説明書・原著論文
  • 序論
    • なぜそういう研究を計画するに至ったか
    • 従来の研究を批判的に展望することになる場合が多い
    • この展望は、視野を自分の研究と直接に関係するものに限った、最も簡潔なものでなければならない
  • 本論
    • 文章を書く心得
      • パラグラフを意識して文章を構成すること。特に、今書いているパラグラフのトピックは何かを常に念頭に置くこと。
      • 最初に読み下すときには理解せず、読み返して初めて分かるような、逆茂木型の文を書かぬこと。内容の並べ方に自然な流れがなく、また文のつなぎ方が唐突で読者に抵抗を感じさせるような、逆茂木型の文章を書かぬこと。
      • 飛躍のない記述をすること。読者は、論文の主題並びにそれにあ関連するいろいろな研究を、著者のように知り抜いているわけではない。著者が「これは書くまでもあるまい」と思って論理の鎖の環を一つ省略すると、読者はついていけないことが多い。
      • 含みをもたせた、ぼかした言い方を避け、できるだけはっきりと言い切ること。「ほぼ」「ぐらい」「らしい」などと書くのは、これらのぼかしことばが本当に必要なのかどうかを検討してからにせよ。
      • 事実と意見をはっきり区別して書くこと。特に事実の記述の中に意見を混入させるな。論文の中では、自分のした仕事と、他人の仕事の引用とがはっきり区別できるように書くことが特に重要である。
      • できるだけ短い文で文章を構成すること
      • 文の途中で主語が入れ替わったり、あるべき言葉が抜けていたりして<破格の文>にならないように神経をつかうこと
      • まぎれのない文を書くこと。理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書く心がけが大切
      • なくてもすむことばは、ひとつも書かないように心がけること
      • できるだけ、受け身でなく、能動態の文を書くこと
    • 議論または考察について
      • 自分の研究の結果を従来の研究結果と比較して検討し、自分はそれについてどう考えるか、何を結論するかを書く
      • 自分の研究の内容を述べ、その結果を明示することにつとめてきて、一旦立場を変えて自分の研究に残っている問題点を吟味し、その上ではじめて結論をまとめる
      • 主張する立場にある自分から離れて、第三者として自分の主張を見直すことが大切
    • 記号や定義について
      • 論文は、その中に与えてある情報だけによって著者の記述を全て理解できるように書かなければならない
      • 論文中で使用する記号には全て明瞭な説明を与え、一貫した記号を使う
    • データについて
      • データの誤差や精度を示さなければならない
      • 結論は、どんな条件のもとで成り立つのかを明示して書かなければならない
    • 図について
      • 図や表は原則としてそれだけでわかるー本文を読まないでも図や表が何を示しているかが分かるーものでなければならない
    • 法律・道義について
      • 法律的または道義的に機密とされていることを書いてはいけない
      • 読者が追試を試みようとするとき、または著者の論理を追跡しようとするときに必要な情報を洩れなく書き込む
    • 文献引用について
      • 自分の論文と直接に関係するものだけを、洩れなく引用すべき
    • 脚注について
      • 本文の筋からは脇道になるが必要な説明や注意やコメントを書く場合

 

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