ICAについて

大学一年生の時、確率統計の授業で、初めて研究とは何かと先生に教えてもらいました。その時、先生が紹介してくれたのはHelsinki大学、Computer Science Departmentの教授たちが研究した独立成分分析(ICA)です。画像から信号、統計までさまざまな分野に応用できるICA法を見て、いつかこの研究に引き継ぎたいと思い始めました。

去年の4月、自分の卒業研究として、ICA、[カクテルパーティー問題]を研究し始めました。残念なことに、自分の研究には新しいアイデアが生まれにくいという弱点があり(あくまで自分の能力が限られたから)、理論の理解も難しく、プログラミングもあまり進んでないようでです。

しかし、振り返り見ると、これは「人工知能」の分野ではないか、またはじめて自分が好きな研究ではないかと思うようになりました。最初、いろいろな壁にぶつかってしまって、「これはヤバイ」「俺ダメだ」と叫んだこともありました。それを乗り越えるために、分からないことを何度も繰り返して読みました。おかげで、今は、完全に理解できるとは言えないが、自分がこの道に入ったじゃないかと思っています。

ここでは、研究の詳細的なことを述べるつもりではありません。ただ、自分の中にはっきりしたいので、もう一度ICAについて、概略を述べたいと思います。では、最初に読んだ本の冒頭を紹介したいと思います。

独立成分分析

信号解析の新しい世界

Aapo Hyvarinen, Juha Karhaunen, Erikki Oja 著
根本幾・川勝真喜 訳

現代社会は信号に溢れている。インターネットやTVなどの日常生活は言うまでもなく、工学、生物学、人文科学の世界ではデータが幾らでも出てくる。データの山に埋もれずに、これを整理しようとなると、データを多変量の信号として扱い、その数学的構造を調べることになる。

統計科学は、多変量の信号を整理し、その即に潜む構造を明らかにしようと、これまでに色々な手法を発展させてきた。主成分分析(PCA)や因子分析(FA)などである。しかしこれでは何か物足りない。

こうした中で、独立成分分析と名乗る新手法が現れ、これまでの信号処理の考え方に再考を迫った。平たく言えば、これまでの多変量の信号処理は、分布がガウス分布で記述できると、暗黙の内に想定していたのである。しかし、現実の信号はガウス分布ではなくて、この事を利用すればガウス分布では分からなかった 構造が明らかに出来る。

独立成分分析は、混ぜ合わさった信号が観測されたときにこれを分離する手法である。大勢の人が同時に話しているときにその中から特定の人の声を抽出する方法、携帯電話などで多数の電波が歪んで混線しても、それを復元する方法、さらに脳波や脳磁波等を脳の外部で観測して、脳の内部に発生している信号を分離して捉まえるなど、色々な使い道がある。画像処理もその一つである。

独立成分分析は、1980年代の半ば、フランスの研究者が考え始めた。妊婦の心電図を測り、ここから胎児の心音と母親の心音を分離したいと考えたのである。

フランスに端を発したこの新技術は、アメリカで、フィンランドで、そして日本で独自の発展を遂げる。新しい手法の提案と、その背後にある数学的な構造をめぐって、論争、競争、そして協力が築かれ、大いに盛り上がった。今は手法も成熟し、共通の理解に達している。さらに、ここから信号処理の世界に更なる発 展が生まれようとしている。

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